デザートワインとは? 普通のワインとの違いってなに?

デザートワイン

デザートワインってどんなワイン?

デザートワインとは「甘いワイン」のことです。
国ごとに決まり事はあれど、一般的に使われるデザートワインという言葉は、幅広く甘いワインのことを指しています。
この甘いワインには明確な定義がありません、普通のワインとの違いは、「甘さ」ですが、線引きは曖昧です。
ほんのり甘みを持つものから、思わず目を見開いてしまうような極甘口までさまざまなタイプが存在します。

それは、ブドウが持っているポテンシャルの甘みのみを使用しているものから、特殊な手法を用いてブドウの凝縮度を高めてつくるもの、高アルコールを入れる酒精強化と呼ばれるものまで様々です。

そして、私たちがご紹介したい「デザートワイン」は、通常の甘口ワインよりもずっと糖度が高く、デザート代わりに楽しめるワインです。

さらに付け加えると、砂糖など甘味を一切添加せず(一部例外あり)ブドウの甘味だけで造る極甘口のワイン。
次で詳しく説明しますが、ブドウを樹に長く実らせておいたり、収穫時に凍らせたり、収穫後に乾燥させたりすることでブドウ自体の凝縮度をアップさせます。
ブドウが本来持っている糖度を高めることでつくられる極甘口のワインを、デザートワインの中のデザートワインとして着目しています。

少し粘度のあるとろっとした黄金色の液体、グラスに鼻を近づけるだけでわかる官能的な香り、口に含んだ瞬間に目のさめるような濃厚な味わい、一口飲んだら病みつきになること間違いなしです。

 


甘いデザートワインのつくり方

デザートワインをつくるには大きく分けて、4種類の方法があります。
広義の意味では、酒精強化という醸造段階の方法でつくられる甘口ワインもありますが、まずはブドウ果汁の糖度を上げる4種類を順番に説明していきますね!

 

貴腐菌(カビ)をつける貴腐ワイン

貴腐菌というカビ菌がブドウの果皮に付着することによって造ることができるワインです。
貴腐とは読んで字の如く「高貴なる腐敗」を意味し、カビまみれのブドウからは想像し難い極上のワインとなり、世界最高の甘口ワインともいわれています。

原料となる貴腐ブドウは、想像する一般的な白ワイン(辛口)と元は同じブドウです。
そのブドウがボトリティス・シネリアと呼ばれる菌に感染し貴腐ブドウを誕生させます。
このボトリティス・シネリア菌とはブドウの天敵、灰色カビ病の原因となる菌と同じものですが、ある特定の気候条件が揃うと貴腐ワインの原料である貴腐ブドウとなります。

大切なのは4点。

・成熟期にブドウが完熟すること
・夜から朝にかけて湿度が高くなること
・日中は晴れること
・上記の条件が1ヶ月以上続くこと

まずブドウが完熟しているというのがとっても大切です。
その完熟したブドウ(通常想像する辛口ワイン用のブドウはここで収穫します)を収穫することなく樹上に実らせておきます。
その樹上に実ったままのブドウが、神様のいたずらといろいろな条件でボトリティス・シネリア菌に感染します。
菌に感染したブドウは、午前中に湿度が高い状態が続くことで腐敗が進みます。この菌はミクロサイズの菌糸でブドウのワックス層を壊し穴をあけてくれます。
その後、天候が回復し晴れることで腐敗がストップし、菌が開けた穴からブドウの水分が蒸発します。
この状態が1ヶ月以上続くことで果実やブドウの樹が腐ることなく、ブドウのエキスのみ凝縮し、とても糖分の高い貴腐ブドウとなるのです。
糖分が高まったブドウの果汁は、発酵途中に酵母が活動できなくなり、極甘口のワインが誕生します。

 

ソーテルヌ

貴腐菌によって得られる効果はブドウの凝縮だけではありません。
貴腐菌のついたブドウで造られるワインはハチミツやマーマレード、ドライレーズンのような独特の風味が生まれるのです。

この貴腐菌のついたブドウで造られるワインのボトルには「botrytised」や「noble rot」(貴腐)と表示されていることが多いです。

世界三大貴腐ワインとして有名なのはフランスのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイです。
その他ニュージーランドやオーストラリア、南アフリカでも造られていますし、種類は少ないですがイタリアでもたまに見かけます。日本でも稀に生産が可能です。

極上の貴腐ワインは濃密で濃厚で味に奥行きがあり、とても官能的でうっとりする味わいです。
貴腐ワインはその製法上、生産本数がとても少なかったり、ブドウの管理に手間がかかったりで高価なものが多いです。
そもそも貴腐菌が付着せず生産できなかったりと、とても貴重なワインで「ワインの帝王」と呼ばれることもあります。

 

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樹上でブドウを完熟させる遅摘みワイン

収穫時期を遅らせたブドウで造るワインです。
ブドウは完熟すると水分が抜け始めて干し葡萄状態になり、糖度が高まります。
先に書いた貴腐ワインほどの糖度は得られませんが、収穫タイミングを遅くするだけでも十分糖度の高いブドウを収穫することが可能です。
これには秋の収穫シーズンに乾燥して温暖な環境が大切になっていきます。湿度が高いとブドウが灰色かび病にかかってしまいます。この製法で造られるワインのボトルには「late harvest」(遅摘み)と表示されます。
この製法は「passerillage」(パスリヤージュ)とも呼ばれます。

 

収穫後にブドウを乾燥させる干しブドウのワイン

干しぶどうワイン

収穫したブドウを風通しの良いところで乾燥させて、ブドウの凝縮度を高めて造るデザートワインです。
方法こそ違えど、先に紹介した貴腐ワインや遅摘みワイン同様、ブドウの水分が抜けることで糖分の高まったブドウを使用することで甘いワインを造ることができます。
うまく乾燥させるには、当たり前ですが乾燥しているのはもちろん、温暖な環境が必要な他、腐った粒から腐敗病が広がらないように、粒を一粒ずつしっかりと選果する必要があります。
この方法が有名なのはイタリアです。北から南まで、イタリア全土でこの手法を用いて甘口ワインを造っていて「passito」(パッシート)と呼ばれています。
そのイタリアの中でも、ヴェネト州にはレチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラとレチョート・ディ・ソアーヴェと名のつく陰干しワインや、聖なるワインと呼ばれるトスカーナのヴィンサントが特に有名です。

 

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樹上で凍ったブドウを収穫するアイスワイン

健康なブドウを収穫時期に収穫せず、冬まで樹に実らせたままにします。
気温が0℃を下回るとブドウが凍ります。ブドウは凍っていますが、凍っているのはブドウ内の水分のみで糖分などのエキスは凍っていません。
そのためこのブドウを絞るととても糖度の高い果汁部分だけを得ることができます。

学生時代、凍らせたスポーツドリンクを飲もうとしても、最初はものすごく甘い液体だった経験はありませんか?それと同じようなことをブドウで行っているのです。
凍らせたブドウ一房から得られる果汁はわずかティースプーン一杯分とごく少量です。
また、収穫時期を遅らせることにより病害や動物被害などのリスクや、思うように気温が下がらないリスクが生じるためとても高価なことが多いです。

冬の気温が低いカナダとドイツで多く造られ、「Eiswein」(アイスヴァイン)や「Icewine」(アイスワイン)と表記されます。
また、これらの国にはアイスワインを名乗るために、ドイツではマイナス7℃以下、カナダではマイナス8℃以下で収穫しなければならないなどの厳しい規定があります。
最近は地球温暖化の影響でどの国でも造ることが難しくなってきています。

アイスワインは貴腐ワインや陰干しワインとくらべて、純粋なブドウの味わいを楽しめたり、フルーティーなワインが多いのが特徴です。

アイスワインとは名乗れませんが、収穫したブドウを人工的に凍らせて、同様の効果を生み出し造られるワインもあります。「cryo extraction」(クリオ・エクストラクション)と呼ばれます。

 


デザートワインっていつ飲めばいいの?

甘口ワイン

デザートワインの販売していると「いつ飲むものなのですか?」とよく聞かれます。
正直にお答えいたしますと、いつでもいいです!になるのですが、下記の3つがおすすめです。

・食後酒として
・3時のおやつとして
・寝る前のリラックスタイムに

とっても甘いので、食後のデザート代わりにすると最高です。
特に干しぶどう感がしっかり出ているパッシートタイプがおすすめです。
また、糖分が多くすこしトロミがあるワインであるため、1度にたくさんではなく少量で満足感が得られます。

摂取アルコールが少なく満足度を得られるため、3時のおやつ時にのむのもいいでしょう。
純粋なブドウの風味が楽しめて、味わいが濃すぎないアイスワインがぴったりです。

寝る前にゆっくりと甘くて美味しいお酒を楽しむのも大人の特権です。
はちみつ感のある貴腐ワインはいかがでしょうか。

デザートワインと相性のいいおつまみやスイーツは?

 

デザートワインは糖分がしっかりあるので、抜栓してから1ヶ月以上美味しい状態を保ってくれます。
毎日は飲まないよ、というかたにもオススメの飲み物です。
また、通常のワインほど温度管理に気を使わずとも大丈夫です。
(もちろん真夏に30度を超える部屋はオススメしませんが。。。)
デザートワインはかわいいボトルも多いのでインテリアの一つとして、部屋に飾るように保管するのも見た目から楽しくしてくれることでしょう。

まだまだ日本では、あまり馴染みのないデザートワインなんですが、実は私達の生活に寄り添ってくれる可愛らしいワインです。
当店では開店以来、厳選しながら徐々に銘柄を増やしていて、最終的には100種類以上のデザートワインを取扱いを予定しています。
多様なデザートワインの中から、丁寧にご案内とご説明をさせていただきますので、まずは、お気軽にお店に遊びに来てくださいね!

 

Tsubura Shingu  新宮瞳

Shimokitazawa Wine Shop 下北沢ワインショップ
下北沢/東京都世田谷区北沢2-10-20 ミカン下北 D-201
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