フルーツワインや酒精強化ワインもデザートワインに入るの?

シェリー

デザートワインの定義とフルーツワイン&酒精強化ワイン

デザートワインとは、ブドウから造られる「極甘口もしくはそれに準ずるワイン」を指しています。
実は明確な定義はされていないので、ワインの製法や甘味レベル、アルコール度数等、様々なカテゴリーの甘口ワインがあります。
下北沢ワインショップでは、甘味レベルが極甘口に分類され、砂糖の使用や醸造中のアルコール添加がないものを便宜上、デザートワインと呼んでいます。

それでは、一般的に言うフルーツワインや、シェリーやポートワイン等の酒精強化ワインで極甘口に入るものは、デザートワインなのでしょうか?
答えはもちろんYESです。
デザートのように楽しめるワインであればデザートワイン、実は括りは、とってもシンプルなんですね。

 


フルーツワインとは?

まず、ヨーロッパでは、ブドウ以外の果物で造る醸造酒はワインとは名乗れません。
その上で、世界にはブドウ以外を原料としているワインが存在しており、それを一般的にフルーツワインと呼んでいます。

日本の酒税法ではワインという言葉に定義付けはされていなく、果実酒と甘味果実酒という分け方がされています。

日本ワインと名乗るためには

・国産のブドウのみを原料とする
・日本国内で醸造する

この上記2点が必要不可欠ですが、果実酒や甘味果実酒として販売する場合には、原料がブドウではなくても大丈夫なのです。

 


フルーツワインに使われるフルーツの種類

有名なものはシードルでしょうか。
こちらはリンゴを原料としている醸造酒で、カテゴリとして確立していますが、広義の意味ではフルーツワインに該当します。

また、いちごや桃から造られるものもよく見かけます。
糖分と酵母が結びつき発酵してアルコールとなるので、糖分の多い果実のほうがよく使われるのです。

基本的に糖分があれば発酵しますので、それ以外にもキウイやオレンジ、ブルーベリー、梨などで造ることももちろん可能です。

 


酒精強化ワイン

バー等で、酒精強化ワイン(Fortified wine:フォーティファイド・ワイン)と呼ばれる酒を見かけることがあります。
フォーティファイド Fortified(=fortify)には「アルコールを加えて強くする」という意味があります。
その名の通り、ワインの醸造工程中にアルコールを添加して、ワイン全体のアルコール分を高めたもののことを指し、保存性が高いのが特徴です。

通常のスティルワインのアルコール度数が11~15%くらいに対して、酒精強化ワインのアルコール度数は、18%前後と高めになります。

 


酒精強化ワインの造り方

まずは、通常のワインと同じように収穫から発酵が行われます。
発酵の過程で、アルコール40度以上の高いスピリッツを添加することで、強制的に発酵を止めます。
アルコール発酵中に高い度数のアルコールが添加されることで、発酵に使われる酵母が活動できなくなるため、糖分がアルコールに変換されるのが中断されます。
そのため、糖分を残したままアルコール度数が高いワインになります。

上記の造り方をするため、酒精強化は甘口が主流でしたが、最近ではしっかりとアルコール発酵をしたあとにスピリッツを加えた辛口も造られるようになってきました。

 


世界三大酒精強化ワイン

ポルトガルの「ポートワイン」と「マデイラワイン」、スペインの「シェリー」が世界三大酒精強化とされています。
その中から、下北沢ワインショップで扱いのあるポートとシェリーについて簡単に説明しておきます。

 

ポートワイン

ポルトガル北部のドウロ地方で造られるブランデーを添加した酒精強化ワインのひとつです。
「ポルトガルの宝石」とも呼ばれています。

ポートワインには、赤白ロゼと様々なスタイルがありますが、主流は赤のポートです。
またその赤のポートも「ルビー」と「トゥニー」に分けられます。

ルビーは平均3年ほどの樽熟成後に瓶詰めされるワインです。
宝石のような色をしているためルビーと呼ばれます。
ラベルには、「Ruby(ルビー)」「L.B.V.(レイト・ボトルド・ヴィンテージ)」「Vintage(ヴィンテージ)」という表記があります。
リーズナブルでフレッシュな味わいのものから、100年もの熟成が可能な高級ヴィンテージポートまで幅広くあります。

トゥニーは、小さい樽で熟成させるなどして酸化が進み、ワインが黄褐色に変わったことから トゥニー(=黄褐色)と呼ばれます。
10年、20年のように熟成年数が表記されたものや、単一年に収穫されたブドウだけを使い、収穫後7年以上樽で熟成をしてから瓶詰めされる「Colheita(コルヘイタ)」が存在します。

 

シェリー

シェリー

スペイン南部のヘレス周辺で造られる酒精強化です。
使われるブドウは「パロミノ」「マスカット・オブ・アレキサンドリア(モスカテル)」「ペドロ・ヒメネス」の白ぶどう3種類です。
ブレンドされることなく単一で造られます。

辛口から極甘口まで幅広いスタイルがあるのがシェリーの特徴ですが、ここでは甘口の説明を。

先程挙げたブドウの中のペドロ・ヒメネスとモスカテルの2種類が使われますが、主なぶどうはペドロ・ヒメネスです。
天然甘口ワインとブレンド甘口ワインに分けられ、天然甘口は乾燥させて凝縮感と糖度を上げたブドウが使われます。
ブレンド甘口ワインはオロロソをベースに造るフルボディの「クリーム」、アモンティリャードをベースに造る繊細な「ミディアム」、フィノをベースに造る「ペイルクリーム」の3種類があります。

下北沢ワインショップと併設のBAR フェアグラウンドでも、少数ですが甘口のシェリーやポートワインをご用意しています。
私たちが便宜上区分けしているデザートワインに酒精強化ワインを多く含まないのは、シェリーやポートは専門性の高いバーやショップも既にたくさん存在しているからで、その品質や多様性には遜色がありません。

 

Tsubura Shingu  新宮瞳
Shimokitazawa Wine Shop 下北沢ワインショップ
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