ラザグレン・マスカット ちょっと珍しいデザートワイン オーストラリアの酒精強化ワインのオススメ

オーストラリア酒精強化ワイン

ワインの世界には酒精強化ワインというものが存在します。読んで字の如く、醸造中のワインにアルコールを添加して、ワイン全体のアルコール分を高めたワインのことです。英語では「フォーティファイドワイン(Fortified wine)」と言います。

 

酒精強化(フォーティファイド)ワインとは?

酒精強化ワインといえば、スペインのシェリー、ポルトガルのポートとマデイラを思い浮かべる方が多いでしょう。
世界三大酒精強化ワインです。
あとはイタリアのマルサラも有名ですね。
このあたりはワインの勉強をしていなくても、酒飲みであれば飲んだことはなくとも名前を聞いたことはあるかと思います。
また、フランスにはV.D.N.(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)が存在します。

これらに加えて、実はオーストラリアにも酒精強化ワインの産地があるのをご存知でしょうか?
それはヴィクトリア州にあるラザグレンという場所です。

 

ラザグレン(Rutherglen)ってどんなところ?

ラザグレンがあるのはオーストラリアのヴィクトリア州です。
19世紀半ばから後半にかけて起こったゴールドラッシュとともにブドウの木が植えられ、酒精強化ワインの産地として不動の地位を築いてきました。

メルボルンから北東275km、ヴィクトリア州北の境界部に位置する、大陸性気候のラザグレン。
この気候は日較差(昼と夜の温度差)も年較差(夏と冬の温度差)も大きく、ブドウ栽培に適しています。

とくに、ラザグレンのヴィンテージ(3-5月)は、一般的に温暖で日照に恵まれることが多いため、ハングタイム(ブドウが樹に実っている時間)を長く取れます。
そうすることでブドウがしっかりと熟すため、糖度の高いブドウを収穫することが可能となります。

そしてこのラザグレンといえば、酒精強化ワインのラザグレン・マスカットです。
マスカットの一種である、ミュスカ・ア・プティ・グラン・ルージュ(Muscat a Petits Grains Rouge)という品種からつくられるオーストラリアを代表する酒精強化ワインで、熟成期間や残糖量によりクラシックやレアなどの等級に分けられます。

ラザグレンの熟成にはシェリーと同じソレラシステムが使用されます。
ソレラシステムとは、一番熟成期間の長いものを瓶詰め、瓶詰めされて空いたスペースに次に熟成期間の長いものを継ぎ足していく、、、というものです。このシステムのおかげで、毎年安定した品質や個性、伝統的な味を守ることができます。

余談ですが、世界にはなんと200種類以上のマスカットがあります。
その中でもラザグレンで使用されているミュスカ・ア・プティ・グラン・ルージュ(地元では「ラザグレンのブラウンマスカット」と呼ばれているそう)は濃厚で高品質なのが特徴です。
使用されているクローンはラザグレン特有のもので、この地で140年以上栽培され続けています。

 

ラザグレン・マスカットの等級

ラザグレン・マスカット

平均熟成3~5年、ワイナリーの土台となるスタイルです。

軽やかでフレッシュなアロマが特徴で、マスカットの華やかさ、レーズンやマーマレードのコクに、くるみやケーキのようなニュアンスを楽しめます。

 

クラシック・ラザグレン・マスカット

平均熟成6〜10年、ワンランク上のラザグレン・マスカットです。

豊かさと複雑さのレベルが高くなり、オークでの長期熟成から生まれる成熟した特徴が現れ始めます。フルーツ感に加えてリコリスやコーヒー、トフィーのようなニュアンスを感じます。

 

グランド・ラザグレン・マスカット

平均熟成11~19年、このくらいの熟成年数になると、力強さや風味の深み、凝縮感が全く新しいレベルに引き上げられ、色と口当たりが大きく変化します。
ダークチョコレートのような色合いで、スパイスの効いた果実、糖蜜、ローストしたヘーゼルナッツ、何層にも重なり合った複雑なアロマが、一口含むごとに広がります。

 

レア・ラザグレン・マスカット

平均熟成20年以上、最上級、最高級のラザグレン・マスカットです。ごく少量しか瓶詰めされない貴重なラザグレン・マスカットで、歴史と醸造家たちの思いが詰まっています。

香りだけでも、その豊かさと複雑さに思わずうっとりしてしまいます。
深みのある色、凝縮した果実味、甘くて深いスパイス、熟成したオークの特徴であるコーヒー豆やチョコレートにバルサミコ。
粘性の高いテクスチャー、まろやかで複雑な風味の並外れた深さはまさに最上級。

 

下北沢ワインショップで購入できるラザグレン・マスカット

 

🍷チェンバース ローズウッド ヴィンヤーズ ラザグレン マスカット NV

ワイン評論家ロバート・パーカーJr.が「フォーティファイドワインの王様」と表したことで知られるワイナリーのラザグレンです。
ワイナリーの歴史は1858年から始まり、一番古いブドウの樹は、なんと1901年から植わっているそう。

赤褐色の外観からは、熟したネクタリンにダークチェリー、ドライレーズンがしっかりと香ります。バラの花束やジンジャーにアーモンドなどが口いっぱいに広がります。

https://shimokitazawa-wineshop.com/2023/03/20/chambers-rosewood-vineyards-rutherglen-muscat-nv/

 

🍷チェンバース ローズウッド ヴィンヤーズ ラザグレン マウント カーメル NV

ラザグレンではマスカット以外の品種を使用した酒精強化ワインも造られます。
シラーズ、ジュリッフ、テンプラニーリョ、グランド ノワールという4種類のブドウから成り立ちます。
深みのあるガーネットカラーです。ドライプルーンやドライレーズンの濃厚な果実味にブラックペッパーやチョコレート、リコリスのようなニュアンスも感じられます。

ワインの名前はラザグレンのブドウ畑を⾒下ろす地元の修道院にちなんでつけられたそう。

https://shimokitazawa-wineshop.com/2023/03/23/chambers-rosewood-vineyards-rutherglen-mt-carmel-nv/

 

いかがでしたでしょうか?
あまり日本では見かけないラザグレン・マスカットですが、見かけたときにはぜひ飲んでみてくださいね!
貴腐ワインやアイスワインとは違った一面をもつ、極上のデザートワインです。

 

Tsubura Shingu  新宮瞳

Shimokitazawa Wine Shop 下北沢ワインショップ
下北沢/東京都世田谷区北沢2-10-20 ミカン下北 D-201
03-6407-9662
Facebook
Instagram