トロッケンベーレンアウスレーゼ 世界三大貴腐ワイン ドイツとオーストリアのデザートワイン

トロッケンベーレンアウスレーゼ

世界三大貴腐ワイン

フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイに並んで三大貴腐ワインと称されるのがドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼです。
貴腐ワインとはワインの帝王とも呼ばれる極甘口のワインのことで、貴腐ブドウから造られます。
この貴腐ブドウはボトリティス・シネリア菌というカビ菌の効果で、果皮の組織が破壊され、ブドウの水分が蒸発することで生まれます。
ボトリティス・シネリア菌は灰色かび病というブドウの天敵にもなりうるカビ菌ですが、この菌が生えたあとに乾燥した天候が続くことで極上のブドウに仕上がります。

トロッケンベーレンアウスレーゼはドイツの品質等級で最高位のランクに位置するワインで、フルーティーな果実味と華やかな甘みが特徴です。
ドイツならどこでも造れるわけではなく、ドイツの中でも13の地域に限定されます。
これらの地域はベライヒと呼ばれ、そのなかでも特に盛んなのがライン川北に位置する「ラインガウ」と千の丘のある地方とも呼ばれる、ドイツ最大のワイン産地「ラインヘッセン」です。

貴腐ワインの前にデザートワインって何?という方は、ぜひこちらをご覧ください!

デザートワインとは? 普通のワインとの違いってなに?

 


ラインヘッセンのワイナリー

まずはそのラインヘッセンにあるワイナリーのご紹介です。

 

Erunst Bretz エルンスト ブレッツ

エルンスト ブレッツ

ラインヘッセンにあるベヒトルスハイム村で1721年から続く家族経営のワイナリーです。
現在は9代目のエルンスト・ブレッツと息子2人がメインとなりワイン造りを行っています。

4つの地域に40haの畑を持つブレッツは、土壌をキャンバスと捉え、テロワールを大切に考えています。
土壌はミネラル感、力強さ、骨格、典型性を与えてくれ、土壌の個性を捉えてテロワールの表現を行います。
また、ブドウの樹の植え付けや剪定など多くの作業を手作業で行うことは、健康なブドウを収穫できると同時に、持続可能な環境に配慮した仕事をすることは当たり前との考えを持ちます。

ワイン造りには最新のテクノロジーも導入しています。しかし職人技、芸術性、経験、直感を組み合わせることが必要で、良いタイミング、感触、高級な素材も重要と語ります。木とステンレスがワインを形づくる一方で、最後の磨きは自身の独自のスタイルとしています。

 

Erunst Bretz Trocckenbeeren Auslese
エルンスト ブレッツ ラインヘッセン ショイレーベ トロッケンベーレンアウスレーゼ

ショイレーベ100%の貴腐ワインで、黄金のとろみある外観です。
香りは桃のコンポートやドライアプリコット、砂糖漬けのオレンジピールの香りに混ざりバルサミコのニュアンスも感じます。
口に含むとマンゴーを始めとした熟したトロピカルフルーツの味わいが印象的で、スパイシーさと濃厚な甘さを持ちます。
残糖量は209g / Lです。ブドウはなんと90%もの水分が抜けた状態のものを使用。他とは比べることができないくらいの凝縮した味わいは、この完璧な貴腐状態のブドウから生まれます。

ショイレーベ:繊細で香りが豊かな白ぶどう品種で、シルヴァーナーとリースリングの交配種です。
1916年ラインヘッセン地方のブドウ栽培研究所所長のゲオルク・ショイ氏が交配させ誕生しました。

 

エルンスト ブレッツ ラインヘッセン ショイレーベ トロッケンベーレンアウスレーゼ 2018

 


オーストリア・ブルゲンラントのワイナリー

ドイツの生産者ではありませんが、素晴らしいトロッケンベーレンアウスレーゼを造るオーストリアの生産者もご紹介します。

ハンガリーとの国境にあるブルゲンラント州。
ここは素晴らしい極甘口のワインを造ることでも有名な産地です。ここの近くにはノイジードラーゼという湖があります。
この湖と空気との温度差により夜中から朝にかけて霧が発生することで、ボトリティス・シネリア菌の成長に理想的な環境が生まれます。
そして午後からは太陽が出て霧が消滅することで灰色かび病となることなく、しっかりと貴腐化したブドウへとなっていくのです。
ノイジードラーゼ湖のおかげでこの地域は安定した貴腐ブドウの収穫をすることができます。

 

Gesellmann ゲゼルマン

ゲゼルマン

1719年から続くオーストリアトップ生産者のうちの一つ、家族経営のワイナリーです。
現オーナーはアルベルト・ゲゼルマン。
オーストリア東部のハンガリー国境沿いにあるブルゲンラント州にワイナリーがあります。
2018年に有機栽培認証を取得しているワイナリーです。

ブルゲンラント州はオーストリアワインの約30%を生産する銘醸地です。
ここはオーストリアで最も長い平均1900時間の日照時間と、パノニア平原からの暖かな風の影響により、非常に暑く乾燥した気候を持っています。
ゲゼルマンはこの地に50haの畑を所有し、それは砂利の多い丘に広がります。所有する畑の中にはなんと樹齢90年にもなる樹も存在します。

ゲゼルマンの名が世界に知られるようになったのは、現オーナーアルベルトの父、アインベルトの時代です。
彼は1980年代半ばに国際品種の栽培をスタートさせたり、フレンチオークでの熟成も始めたりと世界に通じるワインを造り、ブルゲンラントという地のポテンシャルを世界に広めたのです。
現在では国際品種を栽培すると同時に、オーストリア固有品種に特に力を入れ、大切に育てています。
長い歴史を持つワイナリーだからこそのノウハウを活かしワイン造りを続けます。

 

ゲゼルマン トロッケンベーレン アウスレーゼ

 

Gesellmann Trockenbeeren Auslese
ゲゼルマントロッケンベーレン アウスレーゼ

ショイレーベ100%で造られる貴腐ワインです。
このショイレーベは南向き斜面で砂利が多めなローム質土壌で栽培されます。
樹齢は約50年、貴腐がつき糖度が高まったブドウを手摘みで収穫します。
小樽にて9ヶ月かけてゆっくり発酵させたのち、そのままの樽で3年熟成させます。
色は琥珀、スワリングするだけでわかるとろっとした液体は、注ぐだけでふわっと香りが広がります。
ドライプルーンやレーズン、ドライいちじくのような凝縮した果実味、はちみつに漬けたオレンジピールのようなニュアンス、樽由来のウッディーさも感じます。
残糖量255g / Lと、とても甘みが強く、ヌガーや黒糖のような密度の高い甘さを持っています。
とても濃い甘みですが、しっかりした酸が支えてくれるため、力強さとバランスが秀逸なデザートワインです。

 


ベーレンアウスレーゼ

さて、トロッケンベーレンアウスレーゼのワインをご紹介しました。
これはドイツワインの品質等級で最高位に位置するワインですが、この品質等級がどうやって決められているかというと、収穫したときのブドウの成熟度(果汁糖度)です。
ドイツ(オーストリア)ではブドウの成熟度が高ければ高いほど、ランクの高いワインの認証を得ることができるということです(現在法改正中ですが、それはまた改めて)。
トロッケンベーレンアウスレーゼには満たない品質等級にベーレンアウスレーゼというものがあります。
ベーレンとは粒のことで、すなわち粒選びを意味します。完全完熟したブドウのみを一粒一粒収穫し、高い糖度の果汁を得ます。
このブドウの粒には貴腐ブドウも含まれ、トロッケンベーレンアウスレーゼ同様極甘口のワインが造られます。

下北沢ワインショップでは変わり種品種で3種類のベーレンアウスレーゼをご用意しています。

 

デュルクハイマー ノンネンガルテン リースラーナー ベーレンアウスレーゼ

デュルクハイマー ノンネンガルテン リースラーナー ベーレンアウスレーゼ

まずはリースラーナー種。リースリングとジルヴァーナーの交配品種です。
パイナップルや完熟の白桃にメロンのような濃厚なフルーツの甘みが口いっぱいに広がります。
余韻にはジンジャーのはちみつ漬けのようなニュアンスもあり、飽きのこないデザートワインです。

 

デュルクハイマー ノンネンガルテン リースラーナー ベーレンアウスレーゼ 2017

 

アプトホフ ムスカリス ベーレンアウスレーゼ

アプトホフ ムスカリス ベーレンアウスレーゼ

次は、ムスカリス種です。このムスカリスはPiwi品種という、ブドウの病気であるうどんこ病やべと病、灰色かび病などに対する抵抗性を自ら持つ品種で、近年注目が高まってきています。

りんごの蜜のような甘みにたっぷりのはちみつ感、余韻にはハーブの爽やかさも感じます。

アプトホフ ムスカリス ベーレンアウスレーゼ

 

デックスハイマー ビーベルンハイマー ローゼンベルグ オルテガ ベーレンアウスレーゼ

デックスハイマー ビーベルンハイマー ローゼンベルグ オルテガ ベーレンアウスレーゼ

最後はミュラー・トゥルガウとジーガーレーベの交配品種であるオルテガ種です。
天候に恵まれないときでも高糖度のブドウになるのが特徴です。

ミントキャンディーのような、爽やかで甘やかなデザートワインです。関係ないですが、とにかくワインの名前が長くてスタッフ泣かせです。

デックスハイマー ビーベルンハイマー ローゼンベルグ オルテガ ベーレンアウスレーゼ

 

以上、ちょっと聞き慣れないブドウ品種のベーレンアウスレーゼでした。なかなかワイン好きでも飲んだことない品種だと思います。
ぜひお試しください!

 


トロッケンベーレンアウスレーゼにあわせるおつまみ

ぜひ、ブルーチーズと合わせてみてください!
チーズが持つ塩気とワインの甘さが口のなかに天国を作り出してくれます。
また、ドライいちじくもとても合うので、ぜひ盛り合わせで。
もしスイーツをあわせるのならば、濃厚なチーズケーキがおすすめです。

デザートワインのペアリングについては、ぜひこちらもご参照ください!

デザートワインと相性のいいおつまみやスイーツは?

下北沢ワインショップに併設している BAR Fairground では、ゴルゴンゾーラのチーズケーキを手作りしています。
素晴らしいマリアージュですので、ぜひ試してみてください!

 

Tsubura Shingu  新宮瞳

Shimokitazawa Wine Shop 下北沢ワインショップ
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