レチョート ディ ソアヴェとは? 北イタリア ヴェネト州のデザートワイン

レチョートディソアヴェ

北イタリアはヴェネト州、水の都ヴェネツィアを州都とするこの地域に長く続くデザートワインをご存知でしょうか。
その名をレチョート ディ ソアヴェといいます。

イタリアにはパッシートと呼ばれる、陰干ししたブドウから造るデザートワインがあります。
ヴェネト州ではそのパッシートワインをレチョートと呼びます。

レチョートとはイタリア語で「耳たぶ」を意味し、ブドウを耳たぶくらいの硬さになるまで乾燥させることからつけられたとされています。
ちなみに、ヴェネトの方言で、乾燥させるのに最適な小さなブドウの房を意味する“Recia”に由来するという説もあります。

そしてレチョートには2種類存在します。
黒ブドウから造るレチョート デッラ ヴァルポリチェッラと、今回ご紹介するレチョート ディ ソアヴェです。

 

レチョート デッラ ヴァルポリチェッラについてはこちらの記事で詳しく説明しています。

赤のデザートワインをおすすめ!レチョートデッラヴァルポリチェッラ

 

パッシートワインについてはこちらからどうぞ。

パッシートとは?ヴィンサントやレチョートとの違いは?イタリアの極甘口デザートワイン

 

ソアヴェとは?

ソアヴェとは、イタリア北東部ヴェネト州の、ソアヴェ地区でガルガーネガ種から造られる白ワインです。
ほとんどがガルガーネガ種ですが、30%までヴェルディッキオ種とシャルドネ種、ピノ ビアンコ種の使用が認められています。
ガルガーネガは一般的にパーゴラという棚仕立てで栽培されます。棚に蔓を這わすことで葉がブドウに影を作り、日光からブドウを守ってくれます。
デザートワインを造るブドウに欠かせない酸を保持した甘いブドウを収穫することができます。

ソアヴェには「心地よい」「気持ち良い」などの意味があり、ドライのソアヴェはスッキリとした、爽やかな飲み心地のワインが多いです。
そしてこのソアヴェの甘口がレチョート ディ ソアヴェです。使われるブドウはドライのソアヴェと同じくガルガーネガがメインです。

ブドウは手摘みで収穫され、風通しの良い場所で数ヶ月間保管されます。
伝統的に乾燥させる工程は、自宅やワイナリーのもっとも温かい場所で、藁のマットの上で行われていましたが、現在では技術の進歩によりスチール製のトレイや、温度管理された部屋が活用されています。
これはボトリティイスシネリア菌の発生を制御するほか、乾燥のプロセスを早めることも可能となります。
乾燥したブドウは水分が抜けたことにより糖分濃度が高まり、甘いワインを造ることができます。
ポリフェノールを含むその他の成分も凝縮するため、とてもアロマや風味が豊かなワインとなります。ワインは一般的に木樽で熟成させることが多いです。

 

レチョート ディ ソアヴェの歴史

1906年のミラノ見本市ではじめて認知されたデザートワインですが、その歴史はとても古くローマ時代まで遡ります。
ローマ時代にはレチョート ディ ソアヴェの名ではなかったものの、Plinio il Vecchio(プリニオ イル ヴェッキオ)の詩の中に “Vinum Passum” (ヴィヌム パッスム:甘い、乾燥ワイン)の作り方に関する様々な記載が残っています。
ヴィヌム パッスムを得るためにブドウは収穫後に1ヶ月乾燥させ、乾燥が終わった房はアンフォラ(土でできた壺)に入れて造られました。
レチョート ディ ソアヴェという言葉が出てきたのは、ガルガーネガ種がはじめて発見された10世紀のことです。
当時陰干しブドウを使用した甘口ワインは非常に人気がありました。
クリスマスシーズンにブドウを絞っていたことからナターレ(伊:クリスマス)に由来する「ナタリーニ」と呼ばれていました。

 

ピエロパン レチョートディソアーヴェ レコロンバーレ

ピエロパン

世界三大ソアヴェの造り手の一人とされているピエロパンが造るレチョート ディ ソアヴェです。(ちなみに、あとの二人はイナマとジーニという生産者)
ガルガーネガ100%、収穫したブドウは春先まで乾燥させます。2500Lの大きなオーク樽で2年熟成をさせた後に瓶内で6ヶ月以上熟成させたのちにリリースされる、とても手間暇をかけた1本です。天候が良い年にしか造られません。
アプリコットやカリンのシロップ漬けに、アーモンドやトーストの香り、余韻にはシナモンやナツメグをまとわせたはちみつが口いっぱいに広がります。

 

ピエロパン レチョートディソアーヴェ レコロンバーレ 2017

 

カルガーテ レチョートディソアーヴェ ラペルラーラ

カルガーテ レチョートディソアーヴェ ラペルラーラ

「ルガーテの丘の家」という名前のワイナリーです。ルガーテの家の前にある、小さな桃のようなフルーツを実らせる木を“ペルラ”と呼んでいたことから、ワインにペルラーラと名前をつけたそうです。
ペルラはラベルにも描かれています。ピエロパンよりも熟成期間は短いものの、225L以下のバリック熟成のため、よりクレームブリュレやバニラビーンズのニュアンスが強いデザートワインに仕上がっています。

 

カルガーテ レチョートディソアーヴェ ラペルラーラ 2016

 

いかがでしたでしょうか?
ドライのソアヴェは世界的にとても有名なのですが、まだまだレチョートは飲んだことがない人が大多数なのが現実です。
美しい黄金色の液体は、一口飲むとたちまちファンになってしまうことでしょう。
下北沢ワインショップでは、ボトル販売はもちろん、併設のBARでグラス一杯からでもご提供しておりますので、お気軽にお立ち寄りくださいませ。
めくるめく、レチョートの世界へようこそ。

 

Tsubura Shingu  新宮瞳

Shimokitazawa Wine Shop 下北沢ワインショップ
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